サウンドシネマVol.2


  第三話「欺かれた観客達(オーディエンス)」後編
ツグミ「お待たせしました、タカクラです」
ギリアム「突然すまない。フィリオ少佐が留守だと聞いたのでな。君を呼び出してもらった」
ツグミ「いえ、お気遣いなく。少佐の代行は、私が務めることになっていますから」
ギリアム「彼の具合は? ……良くないのか?」
ツグミ「……少佐には、正直にお話します。フィリオ少佐の病状は悪化の一途を辿り、もうすぐ日常生活を送るのも……不可能になるそうです」
ギリアム「病魔がそこまで彼の身体を蝕んでいたか」
ツグミ「今はカザハラ所長の薦めもあり、少しでも身体を休めるために療養しています」
ギリアム「そうか」
ツグミ「少佐、このことは……」
ギリアム「アイビスには伏せておくのだな」
ツグミ「はい。それが彼の……フィリオの望みですから」
ギリアム「ところで、用件についてだが。EOTI機関やDCで開発が進められていたというAMNシステムのデータをこちらへまわしてもらいたい」
ツグミ「その理由は、ミロンガですか?」
ギリアム「気付いていたか。AMNシステムがあの機体へ搭載されていることに」
ツグミ「ええ。アビアノでミロンガと模擬戦を行った後、調べてみたんです。そうしたらフィリオ少佐のデータベースの中に関連資料がありました」
ギリアム「うむ」
ツグミ「AMNシステムは戦闘データを迅速、かつ正確に他機へ伝達し、複数の機体間で共有するためのものです。そしてその改良発展型であるODEシステムは、熟練パイロットによる無人機の同時複数遠隔操作を目指していました」
ギリアム「レーツェルから聞いた話だが、ODEシステムは開発が中止されたそうだな」
ツグミ「はい。テスト中にシステム搭載機が暴走し、パイロットが全員死亡したせいで」
ギリアム「模擬戦でのミロンガはどうだった?」
ツグミ「一時的に暴走状態に陥ったような動きを見せましたが、制限時間を過ぎた時点で停止しました。どうやら制御面での問題点は解消されているようです」
ギリアム「ミロンガ……そしてその後継機であるバルトールにODEシステムが搭載されている可能性は?」
ツグミ「高いと思います。もっとも、完成品であるかどうかはわかりませんが」
ギリアム「そうか。では、AMNシステムやODEシステムに関するデータを可能な限り私のところへ送ってくれ」
ツグミ「わかりました」



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