エンディング


  ヒリュウ改 ブリッジ
レフィーナ「ユン、状況は!?」
ユン「周辺より擬似チャレンコフ反応あり! 次元間不連続面が発生しています!」
ショーン「いけませんな……! このままでは、我々はこの空間に 閉じ込められてしまいますぞ」
レフィーナ「その後は!?」
ショーン「時空のねじれや虚空間に巻き込まれ、 消滅するのでは……!」
レフィーナ「各機を直ちに収容! その後、Eフィールドを展開してください!」
ユン「そ、それでいったい何を!?」
レフィーナ「生き残る術を…… 脱出する術を考え出すのです! 諦めてはなりません!」
ユン「は、はい!」
  通信音
ギリアム「レフィーナ艦長、 回収したツヴァイザーゲイン…… いや、システムXNの射出を!」
レフィーナ「し、しかし、あれは!」
ショーン「ツヴァイザーゲインは 胴体部しか残っておりません。 しかも、著しく破損しており……」
ギリアム「それは承知の上! だが、ここから脱出するには、今一度 システムXNを使わねばならん!」
レフィーナ「わ、わかりました!」
ギリアム「それから、 T-LINKシステム搭載機を……」
ギリアム「いや、再出撃が可能な機体を全て外へ!」
レフィーナ「え!?」
ショーン「何か考えがあるのですな?」
ギリアム「成功するかどうかはわかりません……! だが、やってみるしかない!」
レフィーナ「了解です! ギリアム少佐の指示通り、各機の再出撃を!」


  マップ上
ラミア「SRXとの接続、完了…… エネルギーバイパス、開きます。 ……少佐、そちらの方は?」
ギリアム「……問題ない」
ラミア「しかし、 システムの稼動と安定性は……」
ギリアム「わかっている。 だが、方法はこれしかないのだ」
ラミア「……理解は……出来ますが」
ギリアム「……みんな、俺に力を 貸してくれ。元の世界へ……地球へ 帰りたいと念じてくれればいい」
ラッセル「そ、そんな簡単なことで いいんですか!?」
カチーナ「念じろって言われても、 あたしらは念動力者じゃねえんだぞ!」
アヤ「いえ、T-LINKシステムは 人の思念を感知し、増幅する装置……」
アヤ「みんなの想いが一つになり、 思念の力が強まれば……私達を介し、 システムが反応する……」
ギリアム「そう…… そして、俺達の想いの力で開くのだ、 アギュイエウスの扉を……」
ギリアム「命の鼓動……俺達を生んだ 地球に対し、感覚を開くのだ」
ラウル「想いの力……感覚を開く……!?」
ギリアム「そうだ、ラウル。 事を成し遂げようとする意思、想い…… それらは何らかの形で作用する」
ラウル「……!」
ギリアム「俺はこれまでの戦いを経て、 そう思うようになった」
ギリアム「1人1人の思念は小さくとも、 それらを結集すれば……」
ラウル「わかります、ギリアム少佐。 俺も1人だけじゃ、ここまでは 来られなかった……」
ラウル「仲間のためにも…… フィオナのためにも 俺は念じます……!」
ラウル「必ず元の世界に帰ると!」
カチーナ「ヘッ、 なかなかロマンチックじゃねえか。 あたしもやってやるぜ」
ギリアム「アヤ、 お前達は外側の念を……地球の人々の 思念を引き寄せてくれ」
アヤ「えっ……!?」
ギリアム「我々の想いと彼らの想いが お前達を介してつながれば…… それは、俺達が辿る道となる」
アヤ「人の思念は、 時空間をも超えると仰るんですか!?」
ギリアム「そういうことを 可能にする物のはずだ、 T-LINKシステムは」
アヤ「……!」
ギリアム「俺だけでなく、 イングラム・プリスケン少佐を信じろ」
アヤ「イングラム少佐を……!?」
ギリアム「ああ。 彼はT-LINKシステムに そういう機能も与えているはずだ」
ギリアム「俺は……そう考えている」
アヤ「わ、わかりました! やってみます!」
アヤ「マイ、T-LINK ツインコンタクトを。私達とSRXで 受信機と発信機の役目を務めるわよ」
マイ「わかった……アヤ」
リョウト「……帰ろう、リオ。 僕達の世界へ……君のお父さんが 待つ世界へ……」
リオ「ええ…… あなたやみんなと一緒に……」
カーラ「諦めかけてた夢…… もう一度つかめるかもしんない……。 だから、あたし……」
ユウキ「ああ。 念じよう……俺にも力があるのなら」
ブリット「信じよう、 俺達やみんなの想いの力を……」
クスハ「うん……。 きっと戻れる……帰れるよ」
アイビス「そう……。 夢のため……これからのために……」
ゼンガー「俺には 果たさねばならぬ使命がある」
レーツェル「そして、 守らねばならぬものがある」
タスク「……レオナ、無事に帰れたら またアレを作ってくれよ。 俺、もう一度食いてえんだ」
レオナ「よくてよ……タスク。 でも、その前にやることがあるわ」
タスク「ああ、わかってる」
ラトゥーニ「……オウカ姉様との 想い出……失いたくない……」
ラトゥーニ「それに…… ジャーダやガーネットが待ってる……」
アラド「ああ、 必ず生きて帰ろうぜ……!」
ゼオラ「諦めない、絶対に……!」
ラーダ「クエルボ…… あなたから託された役目…… それを果たすためにも……」
カイ「俺達の帰りを 待つ者達のためにも……」
マサキ「生きて地球へ戻らなきゃ、 今までのことが無駄になっちまう」
リューネ「うん……こんな所で 終わるわけにはいかないよ」
イルム「俺達には まだやらなきゃならないことがある。 そうだろう、リン?」
リン「もちろんだ、イルム」
エクセレン「始まりの地…… またやりなおそ、キョウスケ」
キョウスケ「ああ、これからだ」
アルフィミィ「ああ……感じますの…… これが人の想いが持つ……『力』……」
アルフィミィ「集まり、 高まっていきますの……。 『力』が一つになって……」
アルフィミィ「『扉』が……また……」


  ???
ブライアン「……そうか。 わざわざ報告してくれてありがとう」
秘書「いえ……」
ブライアン「結局、 最後の最後は彼らに頼ることになってしまったか」
秘書「ヒリュウとクロガネは 戻ってくるのでしょうか?」
ブライアン「ああ、L5戦役の時と同じようにね」
秘書「……」
ブライアン「待とう、彼らを。 今の僕達に出来ることは、それくらいだ」


  地球連邦軍伊豆基地内
レイカー「消息不明だと?」
サカエ「は、はい。司令部の方でも 騒ぎになっているようです」
レイカー「……」
サカエ「ホワイトスターは消え…… インスペクターもまた……」
サカエ「これで……戦いは終わったのでしょうか?」
レイカー「……まだだ。 戻るべき者達が戻ってきておらん」
サカエ「……はい」
レイカー「……」
レイカー(ダイテツ……彼らを導いてやってくれ……)


  地球連邦軍伊豆基地 SRX計画ラボ
ロバート「そ、そんな! 捜索隊を出さないって……どういうことなんだ!?」
カーク「……捜しようがないからだ」
ロバート「しかし!」
カーク「軍と政府は、ノイエDC蜂起の事後処理…… そして、アインストの調査を優先させるようだ」
カーク「何故、彼らが時を同じくして活動を停止し、 崩れ去ったか……その謎を解くためにな」
ロバート「それはきっとあいつらが……!」
マリオン「憶測に過ぎませんわね」
ロバート「ラ、ラドム博士……!」
マリオン「でも…… 可能性は高いですわ、限りなく」
カーク「ああ。 今は彼らを信じるしかない」
マリオン「私達が作り上げた機体も、でしてよ」
ロバート「……」
ケンゾウ「……オオミヤ博士、彼らは必ず戻ってくる」
ロバート「コバヤシ博士……」
ケンゾウ「お前も、そう思っているのだろう?」
ロバート「……ええ、もちろんです」
ケンゾウ「……」
ケンゾウ(アヤ、マイ……私はここで待っている。 お前達の帰りを……いつまでも)


  テスラ・ライヒ研究所 管制室
ソフィア「……」
エリ「……久しぶりね、ソフィア。 大学の同窓会以来かしら」
ソフィア「エリ、あなた……どうしてここに?」
エリ「それは…… 超機人の解析を行うために……」
ソフィア「そう……。 もしかして、あなたも……?」
エリ「ええ……彼らに助けられたわ」
ソフィア「……」
エリ「ソフィア……アースクレイドルの方は?」
ソフィア「現状ではもう……」
ソフィア「事後処理について、 テスラ研の協力を得るために私はここへ……」
エリ「そう……」
ソフィア「でも、彼らは…… 私を救ってくれたゼンガー少佐は……」
フィリオ「心配はいりませんよ、 ソフィア・ネート博士」
ジョナサン「彼らは 不可能を可能にする力を持っている。 そのことはあなたもご存知でしょう?」
ソフィア「……」
エリ「彼らには超機人もついているわ。 だから、必ず……」
リシュウ「そう、ゼンガーは…… ワシの弟子達は必ず戻ってきおる。 後は……待つだけじゃ」
ソフィア「はい……」
フィリオ(待っているよ、 ツグミ、アイビス……)
フィリオ(僕達の夢はまだこれからだ……)


  マオ・インダストリー 社内
ジョイス「……左様ですか……。 そちらでは何も……」
ユアン「ですが、 我が社の方で準備をしております」
ユアン「何かあれば……すぐ出られるように」
ジョイス「では、あなたは……?」
ユアン「無論、信じていますよ。 社長や私の娘達が生きていると」
ジョイス「……」
ユアン「ルダール卿…… あなたもそうなのでしょう?」
ジョイス「ええ。 シャイン王女は……私達の姫様は必ずや……」


  東京 ベネルディ家
ジャーダ「チッ! あの連中、機密機密ってうるせえんだよ!」
ガーネット「どうしたの!?」
ジャーダ「ラトゥーニ達がどうなったか、 伊豆基地に問い合わせたんだが……なしのつぶてだ」
ジャーダ「こうなったら、 オオミヤ博士に直接連絡して……!」
ガーネット「やめなよ、迷惑でしょ」
ジャーダ「おめえはあいつらのことが 心配じゃねえのかよ!?」
ガーネット「もちろん、そうだけど……」
ジャーダ「だけど?」
ガーネット「あたし、信じてるもの」
ガーネット「あたし達の子が……ラトゥーニが、 みんなと一緒に必ず帰ってくるって……」


  藤沢地区
ユキコ「!」
ユキコ「今、あの子の声が……?」
ユキコ「……」
ユキコ「リュウ……あなたは……」


  マップ上
リュウセイ「! おふくろ……!?」
アヤ「どうしたの、リュウ!?」
リュウセイ「感じる・・・…! 感じるぞ、外側からの念を!」
クスハ「わかる……! 距離が離れていても……!」
リョウト「人の想いが…… つながっていく……!」
アヤ「T-LINKコネクター、全接続! ……ここが……正念場よ……!」
リュウセイ「バ、バカ! そんなことをしたら、お前は!」
マイ「大丈夫、私も手伝う……!」
リュウセイ「だ、だけどよ!」
アヤ「今やらなくてどうするの! 向こうとみんなの念を 私達でつなげるのよ!」
リュウセイ「……!!」
ヴィレッタ「リュウセイ、SRXを 信じなさい。お前達のマシンには それを可能にする力がある」
リュウセイ「わ、わかったぜ、隊長!」
ヴィレッタ「T-LINKシステム 搭載機のパイロットは念の集中を!」
リョウト「は、はい!」
ヴィレッタ「お前達の念をSRXに集め、 あれをブースターにして皆の念を 一気に増幅させる!」
タスク「合点承知!!」
ヴィレッタ「アヤ、任せる!」
アヤ「了解! やるわよ、リュウ、マイ!」
リュウセイ「おう!」
マイ「わかった!」
アヤ「ライ、 あなたはシステムXN起動のために 出力の維持を!」
ライ「了解です、大尉!」
アヤ「コネクター、全解放! 接続!!」
アヤ「T-LINK マキシマムコンタクトッ!!」
ラージ「SRXから光が……!?」
ミズホ「あれが思念の力……!」
ヴィレッタ「………」
アヤ「くううっ!!」
マイ「うう……うううっ!!」
リュウセイ「う、うあああっ!!」
アラド「リュ、リュウセイ少尉!!」
リュウセイ「え、遠慮はいらねえ! お前らの念をぶつけてこい!」
アルフィミィ「思念の……想いの『力』が…… さらに強く……!」
アルフィミィ「これが……人間の…… 始まりの地に生まれた者達の…… 『力』……!?」
リュウセイ「ぐうっ! 耐えろ、SRX! みんなの念を受け止めるんだ!!」
アヤ「ううっ! くううっ!!」
リューネ「アヤ!!」
アヤ「だ、大丈夫よ! それより、みんなも念じて!」
リューネ「わ、わかったよ!」
エクセレン「まさに正念場って感じ……! キョウスケ、大丈夫?」
キョウスケ「ここまで来て……諦めはしない。 おれ達の……意思を……」
ゼンガー「我らの力を……!」
ラーダ「想いを一つに……!」
クスハ「そして……!」
ブリット「帰るんだ……! 俺達の世界へ……絶対に!」
カーラ「絶対に生きて帰る!」
アイビス「そうだ! ここで死んでたまるもんか!」
龍虎王「ウウウゥゥ……!」
ブリット「りゅ、龍虎王!?」
龍虎王「オオオオ・・・・・・!」
クスハ「私達に 力を貸してくれるの!?」
龍虎王「オオオォォ……!」
クスハ「お願い、龍虎王! 私達の念を向こう側へ!」
クスハ「私達の世界へ届けてぇぇっ!!」
龍虎王「ウゥオオォォォォォォオ!!」
ギリアム「! 次元測定値が…… 転移座標軸が定まっていく!」
ラミア「少佐! これなら完璧でございまっしょいでは!?」
ギリアム「ああ! ライ、エネルギーをこちらに!」
ライ「了解! トロニウム・エンジン、 オーバー! ドライブッ!!」
ギリアム「転移フィールド、展開! 転移座標軸、固定!」
ギリアム「さあ、アギュイエウスよ! 最後の扉を開け!」
ギリアム「我らが戻るべき世界への扉を!」
ギリアム「システム、起動! エクストラ・コード、インプット!」
ギリアム「『ゼウス』………ッ!!」


テツヤ「こ、ここは…… ここはどこだ……?」
エイタ「艦長代理! 艦の真下に惑星が見えます!」
テツヤ「! 空間座標軸を確認しろ!」
エイタ「りょ、了解!」
アラド「あ、あれ……地球だよな?」
ゼオラ「……」
エイタ「座標軸の確認、終了しました! 現在位置は地球の衛星軌道付近、 WA5470です!!」
テツヤ「で、では!?」
エイタ「はい! コルムナとコロニーも確認しました! 我々は元の世界へ戻ったようです!」
エクセレン「わぁお!」
カチーナ「いよっしゃあ!!」
リューネ「やったね!」
クスハ「帰って……来られた……」
ブリット「ああ、俺達の星へ……」
ギリアム「……何とか……保ったか……」
ラミア「ギリアム少佐……」
ギリアム「どうやら……この世界は 我々を再び受け入れてくれたようだな」
ラミア「……はい」
ラウル「ギリアム少佐……」
ギリアム「……俺にとっては、 あれが最後だ」
ラウル(最後……の転移、か。 だが、俺達は……)
ギリアム「ラウル、諦めるな」
ラウル「え……?」
ギリアム「思いが通じれば……必ず」
ラウル「はい……。 その言葉、肝に銘じます」
ライ「リュウセイ、大丈夫か?」
リュウセイ「ああ、何とかな。 もう少しでブレーカーが 落ちちまう所だったぜ」
ライ「大尉……」
アヤ「平気よ、ライ。 マイがいてくれたおかげで……」
マイ「アヤ……」
リュウセイ「よく頑張ったな、マイ。 ありがとよ」
マイ「う、うん……」
ヴィレッタ「お前もだ、リュウセイ」
リュウセイ「いや…… 俺達だけじゃないぜ、隊長」
リュウセイ「ここへ戻ってこれたのは…… みんなが頑張ったおかげさ」
ヴィレッタ「ああ……」
カチーナ「それにしても、驚いたぜ。 ホントに帰ってこられるなんてよ」
タスク「おろ? 中尉、ロマンチックが止まらないとか 言ってませんでした?」
カチーナ「そうそう。銀河の果てまで、 OH I CAN DO」
カチーナ「なんてこたぁ、言ってねえ! だいたい、どさくさに紛れて ロマンこいてたのはてめえらだろうが!」
レオナ「え!?」
タスク「き、聞かれちゃってたぁ〜ん」
キョウスケ「せめて、プライベート通信に しておくべきだったな」
レオナ「は……はい。迂闊でした」
アイビス「でも…… レオナやタスク達ならともかく……」
アイビス「あたし達の 想いの力であんなことが……」
アヤ「念の力は人によって 強弱や発言の仕方に差異はあっても その本質は同じ……」
アヤ「あなたの強い想いが、 この世界へ結びついたのよ」
ツグミ「アイビス……あなたの場合は 宇宙にかける情熱ね」
アイビス「うん…… それだけは誰にも負けないよ……」
レーツェル「……人の想いの力、か」
ゼンガー「それは 不可能をも可能にする……」
エクセレン「アインストちゃん達、 そこんとこがわかってなかったってことね」
   後略


  L5宙域
ギリアム「白き魔星、ホワイトスターは消えた…… 様々な思惑や呪縛と共に」
ラミア「しかし、我々には……あと二つ…… 消し去らねばならない物があります」
ギリアム「ああ、 システムXN・アギュイエウスをな」
ギリアム(む……? “二つ”……?)
ラミア「……少佐、爆破装置のチェック完了。 機外に射出したりしなかったりも…… いえ、射出します」
ギリアム「頼む」
  射出音
ラミア「アギュイエウスの射出を確認」
ギリアム「……」
ギリアム(さらばだ、システムXN……)
ギリアム(いや、XNガイスト…… かつての我が半身よ)
  爆発
ギリアム「……」
ラミア「……」
ラミア「……システムXN、 アギュイエウスの消滅を確認」
ギリアム(これで、俺は……)
ラミア「……」
ギリアム「すまなかったな、ラミア。 俺の後始末に付き合わせて」
ラミア「いえ」
ギリアム「……では、 クロガネに帰還しよう」
ラミア「はい……」
ラミア(これで…… 消し去るべき“物”は…あと一つ)


  クロガネ ブリッジ
クスハ「え? ゼンガー少佐やレーツェルさんとは ここでお別れなんですか?」
ゼンガー「うむ」
レーツェル「実に今更の話で恐縮だが…… この艦は、公式には存在していない物なのでな」
レーツェル「お前達と共に 伊豆へ帰還するわけにはいかんのだ」
ライ「では、これから兄さん達は?」
レーツェル「我らはレイカー司令の依頼を受け、 お前達の影となりて動く者……」
レーツェル「故に、然るべき所へ行くつもりだ」
タスク「つまり…… 要はどこかに隠れるってことッスか?」
レーツェル「そうとも言うな」
クスハ「で、でも、それで大丈夫なんですか……?」
ギリアム「確かに、 ケネス・ギャレット少将あたりは 納得しないだろうが……」
ギリアム「修理中のハガネの件も含めて、 根回しは俺の方でする」
カイ「それに、 あのタコ親父の小言は俺の方で受けておくさ」
レーツェル「……申し訳ありません、カイ少佐」
カイ「気にするな。 それが、表側にいる俺の役目でもあるからな」
ブリット「……」
ユウキ「ブリット…… 俺とカーラは、クロガネへ残ることにした」
ブリット「え……?」
タスク「もしかして、 レーツェルさん秘蔵の紅茶目当て?」
ユウキ「まさか。 ……まあ、興味がないわけじゃないが」
ブリット「じゃあ、何故?」
ユウキ「俺とカーラはノイエDCにいた身だ……」
ユウキ「レーツェルさん達と共に行く方が 何かと煩わしくなくていい」
レオナ「カーラ…… あなた、自分の夢はどうするの?」
カーラ「もちろん、諦めちゃいないよ。 でも、今はまだそれをかなえる段階じゃないって 思うんだ」
カーラ「いつまた地球を狙ってくる 異星人が現れるかわからないし……」
カーラ「ゼンガー少佐や レーツェルさんと一緒にいれば、 何だか退屈しなさそうだしね」
タスク「それどころか、 目一杯振り回されちまうぞ。 斬艦刀みてえに」
カーラ「あははは、望む所だよ。 あたし、派手好みだし」
クスハ「何だか、かえって目立ちそう……」
ギリアム「ラウル、ラージ、ミズホ。 お前達のことは、レーツェルに託す」
ラウル「わかりました」
タスク「お前らもクロガネ行きかよ?」
ラージ「ええ。 エクサランスを僕達の手で完成させるためにね」
ミズホ「それに、 メカニック担当としても働くつもりなんです」
クスハ「そうなの……」
ラウル「俺はこの世界へ…… あ、いや……みんなと出会えて良かったよ」
ラウル「色んな世界があって…… 色んな人達がいて……みんな一所懸命に生きてる。 それがわかって良かった」
タスク「カッコいいこと言っちゃって。 俺は泣かねえからな」
ラウル「そ、そんなつもりで 言ったんじゃないって」
ミズホ「……そうですよね……。 ラウルさんの言う通りだと思います……。 あたし達は1人じゃない……」
ミズホ「色々な所で多くの人達と出会い、 助けてもらったからこそ、ここまで 来られたんです……」
タスク「泣いちゃってるよ!」
クスハ「……泣かないで、ミズホ」
ミズホ「は、はい……」
ブリット「これで最後ってわけじゃないんだ。 笑顔で別れよう」
カーラ「そうそう。湿っぽいのはなし」
ミズホ「ええ……」
ラージ「………」
ラージ(一時はどうなることかと思いましたが…… 結果的には貴重な体験になりましたね)
ラージ(この世界で…… このまま生きていくのも悪くない、と 思える程に……)
テツヤ「……では、レーツェルさん。 あなたにクロガネをお返しします」
レーツェル「フッ…… 言ったはずだ、この艦は私だけの物ではないと」
テツヤ「……そうでしたね」
ギリアム「ゼンガー、レーツェル……いずれまた」
ゼンガー「うむ」
カイ「ユウキとカーラを頼むぞ」
レーツェル「ええ」
ギリアム「そして、ラウル達を……」
レーツェル「……ああ、わかっている」
ライ「兄さん……」
レオナ「エルザム様、どうかお元気で」
レーツェル「お前達もな」
レオナ「はい」
レーツェル「では、諸君…… 再会の時まで、しばしの別れだ」


  地球周辺宙域
ラミア(……静かだ。 宇宙はこれぐらい静かな方が いいのかも知れない……)
ラミア(ヴィンデル様、アクセル隊長…… そして……レモン様。あなた達が求めた世界より…… いいかも知れません)
ラミア(シャドウミラー隊は私を除いて全滅……。 この世界に否定された……結果です)
ラミア(アギュイエウスも消滅した今…… 残った私が機能を停止させれば……全てが終わります)
ラミア(任務を放棄し、敵組織へ寝返り、 創造主を殺し……未だ生きながらえている……)
ラミア(レモン様…… やはり私は……Wナンバーズの失敗作…… イレギュラーに過ぎないのでしょう)
ラミア(『こちら側』でも…… 『向こう側』でもない世界で……)
ラミア(あなたは……隊長と会えましたか……?)
ラミア(人形の私では…… あなたの傍に逝くことはできないでしょうが……)
ラミア(もしかしたら……もしかしたら、 W15や16……散っていった多くの兄弟達には…… 会えるかもしれません)
ラミア(…………)
ラミア(W17…… Wナンバーズ最後の活動を……停止します)
  通信音
アラド「ラミアさん! ちょっと待った! 待ったぁぁっ!!」
ラミア「なに……? アラド・バランガか……?」
カチーナ「ラミア! 暴れるだけ暴れといて、さっさと おさらばしようなんざ甘えんだよ!」
ラミア「カチーナ中尉……」
ブリット「ラミアさん、 これからが大変なんですよ」
ブリット「壊すよりも、 創って、守っていく方が何倍も……」
ラミア「ブルックリン少尉……しかし、私は……」
クスハ「お願いです……! ラミアさん」
ラミア「クスハ……」
ギリアム「何故、君は死に急ごうとする? この世界は君を受け入れたと言うのに」
ラミア「……ですが、世界を混乱させたのは 我々シャドウミラー隊です……」
ラミア「そして、 私は直接手を下したWナンバーズ……」
ラミア「命じられるがままに実行した人形。 この世界は……私のいるべき世界ではないのです」
マサキ「最初は敵だったかも知れねえ。 でも、今は違うだろ?」
ラミア「マサキ……」
エクセレン「ラミアちゃん…… 最後は自分の意思で私達と一緒に 戦ってくれたじゃない」
ラミア「エクセ姉様……」
アイビス「それとも…… 残った自分の可能性を、自分自身の手で 消そうって言うの?」
ラミア「だが、私は地球人…… いや、人間ですらないのだぞ」
ヴィレッタ「それが……どうしたと言うのだ?」
ラミア「……!」
リュウセイ「素性なんて関係ねえぜ。 ……仲間なんだからさ」
ラミア「だが、私はW17……」
ラトゥーニ「ううん……。 あなたはラミア・ラヴレス…… もうW17じゃない……」
ラミア「……」
キョウスケ「もし自分の心変わりを 心配しているのなら、気にするな」
キョウスケ「その時は…… おれ達が止める。 それが出来るか出来ないか…… お前が知らないとは言わさん」
ラミア「キョウスケ中尉……」
キョウスケ「だから、戻ってこい。 生きる道……居るべき場所があるからこそ、 お前はここにいる」
ラミア(……生きる道……居るべき場所。 アクセル隊長……もしや、そのために…… 私にその言葉を残したのですか……?)
ラミア「人間でも……Wシリーズでもない…… そんな私が……この世界に居てもいいのですか……?」
キョウスケ「フッ……お前は本当に優秀だな、ラミア」
ラミア「……え?」
キョウスケ「おれはそんなに思い悩んで生きてはいない。 いつかは死ぬ……それまでは精一杯生きればいい。 ……その程度だ」
キョウスケ「それが……おれにとっての 生きる道や、居るべき場所……なのだろう」
ラミア「……」
エクセレン「あらら、なんかカッコいいこと言ってる! ……とか思ったら、全然何にも考えてないんじゃない」
エクセレン「ま、そこまで考えてる人が、 無謀なギャンブルを繰り返したりはしないか」
タスク「しかも、 命が懸かってないと、てんで弱いッスからねえ」
タスク「あ、昼メシがもう3週間分溜まってるッスよ」
キョウスケ「……うるさい」
ラミア「……フ……フフフ」
エクセレン「わお、笑ってくれたわね! ラミアちゃん」
ラミア「W17……」
ラミア「 いえ、ラミア・ラヴレス…… これより帰還しちゃいまんね……」
ラミア「もとい」
ラミア「帰還します……」
キョウスケ「……了解した。 本作戦……これにて本当に終了だ」
ラミア「……」
ラミア(レモン様…… 永劫の闘争をするために生まれた私を…… この世界は……受け入れてくれるようです……)
ラミア(どこまで行けるかはわかりません…… そして、いつ拒絶されるかもわかりません)
ラミア(ですが、あなたのくれた命…… それが尽きるまで……精一杯歩き続けようと思います)
ラミア(いつか……たどり着けますか……? 私を……自分の子だと言ってくれた…… あなたのいる所まで……)
ラミア(……お母さん……)



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