49話「彼方への扉」


  出撃、前略
テツヤ「ホワイトスター外部の 状況はどうなっている!?」
エイタ「きょ、強力な エネルギーフィールドに覆われて いるらしく、調査不能です!」
エイタ「センサー類は真っ白、 外部との通信も不可能です!!」
テツヤ「なっ……!?」
ツグミ「あ、あの時と…… エクセレン少尉を助けた時と 同じ……!?」
テツヤ「俺達はホワイトスターに 閉じ込められたのか!?」
ギリアム「……」


  シャドウミラー出現
リュウセイ「あ、あいつら、 今までどこに隠れてやがった!?」
ラウル「もしかして、 あれがシャドウミラーの……!?」
リュウセイ「ああ、 アタマを張ってる連中だ!」
レモン「ふふ……ホントは 最後まで見物していたかったんだけど、 そうもいかなくなっちゃったのよね」
ギリアム「ここからの脱出が 困難になったからか?」
ヴィンデル「そうだ、ヘリオス。 アインストシリーズが展開した エネルギーフィールドのせいでな」
キョウスケ「つまり……おれ達は 全員ここに閉じこめられたということか」
レモン「そ。 私達も試してみたけど、通常転移じゃ 外への脱出は不可能……」
レモン「まさか、アインストが こんな手を使ってくるとは思わなかったわ」
ヴィンデル「我らがここから脱出するには、 次元転移を行わねばならん」
ヴィンデル「だが、 アインストのフィールドを 確実に突破するには……」
ヴィンデル「システムXNの機能が 完全でなければならん」
ギリアム「なるほど…… それで俺を捕らえに来たわけか」
ヴィンデル「そうだ。 そして、エクサランスも手に入れば、 なお良し」
ラウル「……!」
レモン「……他にも目的はあるけどね」
ラミア「……」
エクセレン「……」
ヴィンデル「これが最後通告だ。 我らと共に来い」
キョウスケ「おれ達の答えは変わらん」
ヴィンデル「……」
レモン「エクセレン、あなたは?」
エクセレン「悪いけど、 もうキョウスケの敵に 回るつもりはないのよね」
レモン「そう……」
ブリット「争いを食い止めるなら ともかく、それを広げることに 荷担なんて出来るか!!」
ヴィンデル「前にも言ったな? 人間の歴史は戦いの歴史だ。それは 我々の世界でも、この世界でも同じ」
レモン「そして、常に戦いは 人間に新たな進化を促してきた。 精神的にも……技術的にも」
レモン「それこそ、インスペクターから 目を付けられるくらいにね」
ヴィンデル「戦争がなければ、 人類は未だに宇宙へ飛び出すことすら 出来なかっただろう……」
ツグミ「確かに、それは事実よ。 でも、私達は戦争をするために 宇宙を目指しているのではないわ」
ヴィンデル「だが、 宇宙を飛ぶための技術の多くが 兵器に流用されている」
ヴィンデル「その最もたる物が テスラ・ドライブではないか」
アイビス「それは兵器として使う奴らが 悪いだけだよ!」
アイビス「せっかくの技術や発明を 何でも戦争の道具にしてしまう奴らが!」
ヴィンデル「だが、 闘争は人間にとって滋養分なのだ」
ヴィンデル「それがない世界は ゆっくりと腐敗し……やがて、 取り返しのつかない世界となる」
シャイン「それはあなた達の 勝手な理屈でございましょう!」
マサキ「屁理屈ってんだよ、 そういうのはな!」
ヴィンデル「真実だ。 だが、あのビアン・ゾルダークが 行動を起こさなければ……」
ヴィンデル「連邦政府や連邦軍は 腐敗を続け、対異星人用の兵器も 量産されることなく……」
ヴィンデル「地球人は 異星人に屈していただろう」
リューネ「それは……!!」
ヴィンデル「ビアンも私と同じく、 戦争によって人間の進化を 促そうとしたのだ……」
ヴィンデル「エアロゲイターや インスペクターという異星からの 侵略者に打ち勝つために」
ヴィンデル「そして、その結果…… 生まれ出たのがお前達という存在だ」
ヴィンデル「その点で 我らシャドウミラーとお前達は 似ているのだよ」
リューネ「冗談じゃない! あたし達は争いが続く世界を 望んでなんかいないよ!」
ヴィンデル「だが、これからの時代は 戦争を望むものだけが生き延びる……」
ヴィンデル「人類は闘争によって さらなる進化を遂げなければ、 来るべき星間戦争を生き残れんのだ」
ゼオラ「だから、自分達で訓練代わりに 戦争をやろうって言うの!?」
ゼオラ「戦いを望まない人達まで 巻き込んで!」
ヴィンデル「そうだ。戦争が始まれば、 人は戦わざるを得なくなる。 己自身が生き残るためにな」
アラド「ふざけんな! わけもわからず戦わされるのは、 おれ達だけでもう充分だ!!」
ヴィンデル「ならば、 何故お前達は戦いに身を投じている? 何のために戦っている?」
クスハ「それは、 あなた達のような人達を止めるためです!」
レモン「まるで正義の味方ねえ。 ……これは駄目かもね、ヴィンデル」
ヴィンデル「下らん。見込みはあるかと 話していたが……どうやらこの世界も 愚か者の集まりのようだな」
レーツェル「否定させていただこう。 愚かなのはお前も同じだ」
ヴィンデル「何……?」
レーツェル「……ビアン総帥や我が父は、 己の選んだ道が愚である事を 理解していた……」
レーツェル「だからこそ、 自分達の力を凌駕する者が 目の前に現れた時……」
レーツェル「彼らへ 地球圏の命運を託し、己の愚行を 償うために散っていったのだ」
ヴィンデル「フン、 己の愚を自覚せぬ者こそが 真の愚者ということか」
ヴィンデル「だが、 ビアン達が武力で地球圏を支配すれば、 このような事態を招かずに済んだものを」
ゼンガー「DCを 否定する者が現れなければ、 総帥達もその道を選んだだろう」
ゼンガー「だが、 先程も貴様が言った通り…… 結果はここにある」
ヴィンデル「では、 何故DC戦争に加担した貴様は ここにいる?」
ヴィンデル「何故、 愚行を償うために自決せんのだ?」
ゼンガー「確かに……我らの罪は重い。 命ある限り、それを償わねばならん。 例え生き恥をさらし続けても」
ヴィンデル「良かろう……。ならば、 我らの世界のお前と同じ結末を 迎えさせてやる。そして……」
ゼンガー「黙れ。 貴様らにウォーダン・ユミルのような存在を 作り出させはせん」
ゼンガー「奴のように 哀しく、虚ろな存在を……もう二度とは」
レモン「……そうね」
ラミア「レモン様……」
レモン「W17、ここまで来たのね。 じゃあ……アクセルは……死んだのね」
ラミア「はい……残念ですが……」
レモン「仇討ちはさせてもらうわ。 結構気に入ってたのよ、 あの人のこと」
ラミア「……私にとっては敵でだった。 敵は倒す……そう教えられてきました」
レモン「そんなところだけは優秀ね、あなた」
ラミア「……はい」
ラミア「レモン様、 アクセル隊長は……最期に……」
レモン「そこまでよ、W17」
ラミア「……レモン様」
レモン「それ以上はいいの。 すべてを語ることが正しいわけではないわ。 ……もう少し学ばなければならないわね」
ラミア「……わかりました」
ヴィンデル「人形風情が無駄口を叩くな。 アクセルが倒れたとて、 我らの作戦は揺るがん」
ヴィンデル「そして、ヘリオス…… 我らの理想成就のため、 その身柄を貰い受けるぞ」
ギリアム「ヴィンデル、 お前達を向こうの世界へ 行かせはしない」
ギリアム「必ず葬り去る。 その歪んだ理想とシステムXNごとな」
ヴィンデル「ならば、 この戦いを永遠の闘争…… その皮切りとしてくれよう!」
ラミア「………」
ラミア「永遠の闘争…… その先にあるのは、進化ではなく破滅」
ラミア「その到達点は……間違っている」
ラミア「ヴィンデル様、レモン様。 お覚悟を決めまくり…… いえ、お決め下さい」
   BGM:極めて近く、限りなく遠い世界に(Ver.OG)
ヴィンデル「W17……!」
レモン「ふふ……やっぱり可愛いわよ、 あなた」
レモン「W17…… 今の言葉……それはあなた自身の 意思なのね?」
ラミア「はい。 私はアインストと……あなた方を倒します」
ラミア「そして進みます……」
レモン「進む……?」
ラミア(アクセル隊長…… あなたが最期に言った、生きる道…… その到達点まで……!)


  VSヴィンデル
ヴィンデル「貴様をシステムXNに 組み込めば、より確実な次元転移が 可能となる!」
ヴィンデル「我が理想の礎と なってもらうぞ、ヘリオス!」
ギリアム「ヴィンデル……システムXNは この世界に……いや、いかなる世界にも もう存在してはならないのだ」
ヴィンデル「では、何故貴様は あれで次元転移を行ったのだ?」
ギリアム「俺は……システムXNで 元いた世界へ帰るつもりだった。 そのための実験だった」
ヴィンデル「何……!?」
ギリアム「だが……やはり、あれは 二度と作動させてはならぬ装置……。 修復などするべきではなかったのだ」
ヴィンデル「復元……だと!?」
ギリアム「あのシステムは、 禁断の機動兵器……そのコアを 修復したもの……」
ヴィンデル「ヘリオス、 貴様は一体何者なのだ!?」
ギリアム「俺はギリアム…… ギリアム・イェーガー」
ギリアム「過去に犯した罪により、 並行する世界をさまよう宿命を 背負った男だ」
ヴィンデル「!!」
ギリアム「俺という存在が 招いた事態を収拾するために…… システムXNを破壊するために……」
ギリアム「ヴィンデル・マウザー、 俺はお前を倒す!」


  ヴィンデル撃破
ヴィンデル「う、うぬうう……!! この私の理想が! 闘争の世界が! あのような連中などに!!」
ラミア「あなたの世界は…… 否定されたのです、ヴィンデル様……!」
ヴィンデル「人形が何をほざくッ!! かくなる上は、次元転移を!!」
ラミア「!!」
  ヴィンデル移動
ヴィンデル「アギュイエウス、起動! 転移座標、ASRJ……!」
ギリアム「そうはさせんぞ!」
  ギリアム移動、ヴィンデルに隣接
ヴィンデル「ヘリオス!?」
ギリアム「逃がしはせん、 ヴィンデル・マウザー!」
ヴィンデル「ふ、ふははは! 血迷ったか、ヘリオス!」
ヴィンデル「貴様とシステムXNが 一つになれば、完全な次元転移が 可能となるのだぞ!」
ギリアム「はたして、そうかな?」
ヴィンデル「何!?」
カイ「ギリアムッ!!」
レーツェル「何をする気だ!?」
ラミア「もしや……!?」
  ラミア移動、ヴィンデルに隣接
ヴィンデル「ぬうっ! 貴様ら!!」
ラミア「……」
ギリアム「ラミア……!?」
ブリット「少佐、ラミアさん! いったい、何を!?」
ラウル「も、もしかして!?」
ギリアム「ラミア、君は……!?」
ラミア「あなたの考えはわかっています。 このツヴァイザーゲインを……」
ラミア「システムXNや ホワイトスターごと、二度と戻れぬ世界へ 持って行かれるおつもりですね?」
ギリアム「!」
ゼンガー「ギリアム、お前!!」
ギリアム「言ったはずだ、ゼンガー。 俺は、俺なりのやり方で 事態の収拾をつけるとな」
ゼンガー「……!!」
ヴィンデル「ま、まさかッ!?」
ギリアム「付き合ってもらうぞ、 ヴィンデル・マウザー…… 因果地平の彼方へ」
ヴィンデル「な、何だと!? 正気か、貴様!?」
ギリアム「ああ」
カイ「待て、ギリアム!!」
ヴィレッタ「早まらないで! 他にも方法があるはず!」
ラウル「そうです! もしかしたら、エクサランスの 時流……」
ギリアム「そこまでだ、ラウル。 お前は……お前の道を行け」
ラウル「!」
ギリアム「これは過去に過ちを犯した 俺の宿命なのさ。だから、それに 付き合う必要はない」
ギリアム「お前達には…… 俺と違う道を歩んで欲しい。 それが俺の願いだ」
ラウル「ギリアム少佐……!」
ギリアム「そして、ラミア…… 君はここに残れ」
ラミア「いえ……ギリアム少佐。 ヴィンデル様を倒すのは私の役目です。 そう……思います」
ラミア「そして、 仲間達をアインストの結界から 解き放つためにも……」
ラミア「転移に必要なエネルギーは 多いほどいいのでしょう?」
ギリアム「……!」
ヴィンデル「W17、貴様ァッ!!」
ラミア「ヴィンデル様…… この世界にあなたが……いえ、私達が 居られる場所などどこにもないのです」
ラミア「……アクセル隊長も…… レモン様でさえも……です」
ラミア「だから、ヴィンデル様…… いや、ヴィンデル・マウザー大佐……!」
ラミア「あなたも否定された世界から 消えるべきなのです……ッ!」
ヴィンデル「ぬ、ぬおおっ!! 貴様などに!!」
ヴィンデル「貴様のような 人形などにぃぃぃぃぃぃっ!!」
  爆発
キョウスケ「!!」
クスハ「ああっ!!」
エクセレン「ラ、ラミアちゃん!!」
ギリアム「……動力、コア接続……! 転移フィールド、展開……!」
ギリアム「第1転移座標軸、 L5宙域・HS3551……」
ギリアム「第2転移座標軸、 Z9999……」
ギリアム「システムXN、再起動……! ファイナル・コード……」
ギリアム「『アポロン』……!!」
エイタ「か、艦隊周辺に転移反応!! こ、これはっ!!」
テツヤ「しょ、少佐!!」
レフィーナ「まさか、私達を ここから脱出させるために!?」
  アルフィミィ出現
キョウスケ「ペルゼインだと!?」
エクセレン「お、お嬢ちゃん!!」
アルフィミィ「この時を……待ちわびて おりました……」
キョウスケ「何!?」
アルフィミィ「今まさに……『扉』が 開きますのよ……」
マサキ「『扉』だと!?」
リュウセイ「そ、そいつは、 こないだお前が言ってた……!?」
アルフィミィ「そう……。 新たな宇宙への……『扉』ですの」



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