地上編11話「群れなす機械」


  シナリオデモ テスラ・ライヒ研究所内
ダイアン(通信)「タカクラチーフ、連邦軍情報部の ギリアム・イェーガー少佐から連絡が入っています」
ツグミ「ありがとう、ダイアン。 セキュリティレベルをトリプルAにして、 こちらへ回して」
ダイアン「わかりました」
   電子音
ギリアム(通信)「久しぶりだな、タカクラチーフ」
ツグミ「ご無沙汰しています、少佐」
ギリアム「突然すまない。 フィリオ少佐が留守だと聞いたのでな。 君を呼び出してもらった」
ツグミ「いえ、お気遣いなく。 少佐の代行は、私が務めることになっていますから」
ギリアム「彼の具合は……良くないのか?」
ツグミ「……少佐には正直にお話します。 フィリオ少佐の病状は思わしくなく…… 入院も時間の問題かと」
ギリアム「病魔はそこまで彼の身体を 蝕んでいたか……」
ツグミ「今はカザハラ所長の勧めもあり、 少しでも身体を休めるために療養しています」
ギリアム「そうか……。 カザハラ所長も、彼に同行しているのか」
ツグミ「はい……。 ですが、少佐……このことは……」
ギリアム「アイビスには伏せておくのだな?」
ツグミ「はい……。 それが彼の……フィリオの望みですから」
ギリアム「………」
ギリアム「ところで、用件についてだが…… EOTI機関やDCで開発が進められていたと言う AMNシステムのデータをこちらへ回してもらいたい」
ツグミ「その理由は……ミロンガですか?」
ギリアム「気づいていたか。 AMNシステムが、あの機体へ搭載されていることに」
ツグミ「ええ。 アビアノでミロンガと模擬戦を行った後、 ずっと調べていたんですが……」
ツグミ「フィリオ少佐のデータベースの中にあった 関連資料を発見しました」
ギリアム「ふむ……」
ツグミ「AMNシステムは、 戦闘データを迅速かつ正確に他機に伝達し、 複数の機体間で共有するためのものです」
ツグミ「そして、その改良発展型である ODEシステムは、熟練パイロットによる無人機の 同時複数遠隔操作を目指していました」
ギリアム「……レーツェルから聞いた話だが、 そのODEシステムは開発が中止されたそうだな」
ツグミ「はい……。 テスト中にシステム搭載機が暴走し、 パイロットが全員死亡したせいで……」
ギリアム「……模擬戦のミロンガはどうだった?」
ツグミ「一時的に暴走状態へ陥ったような動きを 見せましたが、制限時間を過ぎた時点で停止しました」
ツグミ「どうやら、制御面の問題点は 改善されているようです」
ギリアム「ミロンガ……そして、その後継機である バルトールにODEシステムが搭載されている 可能性は?」
ツグミ「高いと思います。 もっとも完成品であるかどうかは わかりませんが……」
ギリアム「そうか……。 では、AMNシステムやODEシステムに関する データを、可能な限り私の所へ送ってくれ」
ツグミ「わかりました」
ギリアム「では、またな」
   通信切断
ツグミ「ギリアム少佐が動いているということは…… ミロンガとバルトール……私の思っている以上に 裏がありそうね」
ツグミ「……でも、バルトールのお披露目は明日……。 全ては後手に回ってしまっている……」



  エンドデモ 伊豆基地 滑走路上
ギリアム「……伊豆基地がこの有り様とはな。 ここを襲撃したバルトールは?」
情報部員「3機撃墜しましたが…… 残り15機はロストしました」
ギリアム「バルトールに拉致された人数は?」
情報部員「ざっと100名…… 大半がハンガーにいた整備員やパイロット達です」
ギリアム「そうか……。 本部ビルの方は?」
情報部員「そちらの被害はほとんどありません。 ただ、指揮系統はかなり混乱しています」
ギリアム「マウロ・ガット准将は、 こちらに来ているのだな?」
情報部員「ええ。 本部ビルへ行っていたはずですから、 おそらく無事かと」
ギリアム「では、彼の所へ行くぞ」
情報部員「はっ」

   伊豆基地内
ギリアム「むっ?」
情報部員「マウロ准将が……!」
ギリアム「一足遅かったか……」
情報部員「……死後、1時間ほど経っているようですね」
ギリアム「バルトールがここを襲う前か……。 死因は?」
情報部員「毒物と思われます。自殺でしょうか?」
ギリアム「それはどうかな」
ギリアム(今回の件……バックにいるのは、 イスルギだけではないかも知れん)
ギリアム(そして、現在活動中のバルトールが 我々の目を欺くための囮だとしたら……)
ギリアム「……私はラーダ・バイラバンと共に ハガネと合流し、大連へ向かう」
情報部員「では、ウォン重工業の本社へ?」
ギリアム「ああ、新たな手がかりを得るためにな。 ……もっとも、すでに手遅れかも知れんが」


  ハガネ 格納庫、前略
リュウセイ「これ、何なんだ……!? いったい、何なんだよ!?」
   開閉音
ギリアム「……ODEシステムだ」



10話へ   13話へ



戻る

inserted by FC2 system